法人化のメリットとデメリット

法人化にはメリットもデメリットもありますので、よくよく検討して判断して頂きたいと思います。

一般的に言われているメリットとデメリットを例示してみます。

≪法人化のメリット≫

point1社会的信用力が増す

法人には法務局への登記が必要であり、登記を通じて公にされることにより、取引先から安全性や社会的信用が得られます。
「株式会社 ○○」という肩書きがあるだけで取引先に安心感を与えることができます。
個人事業に比べて従業員などの人材確保についても有利な傾向があります。

金融機関への信用力が増す

法人の会計は複式簿記による経理が要求され、当然、個人と法人の財布の区別が明確にされます。
貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書などの一定の法則に従った財務書類が作成されますので、金融機関にとって有効で明確な判断材料を提供することができます。

給与所得控除(税法の上で一番の節税効果)

個人事業の場合には、事業主は給料を貰う事はできません。
事業から支出された事業主の生活費は経費にはならないのです。
法人化後は、法人から役員報酬を貰うことができるようになり、この役員報酬は丸々、法人の経費となりますし、役員からみれば給与所得になります。
この給与収入からは、給与収入に応じた給与所得控除を引いてくれます。
よって、個人事業では認められなかった給与が、丸々法人の経費となり、受領した役員は給与所得控除を差し引いた残りが給与所得として課税されることになるのです。
つまり、法人と個人の所得を合計してみると、給与所得控除分だけ所得が少なくて済むことになり、これが法人化の節税上の一番のメリットと言われています。

平成18年度の税制改正により、「特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入」制度により給与所得控除のメリットが一部制限されましたが、その後の改正により、平成22年4月1日以後終了する事業年度から廃止されましたので、この給与所得控除のメリットが従前どおり利用できるようになりました。ただし、今後の所得税の税制改正により異なる方法によりこのメリットが再び制限を受けそうです。

その後、平成24年度の税制改正により、平成25年分以降の給与等の収入金額が、1500万円を超える場合の給与所得控除額が245万円の定額に固定されましたので、メリットが一部制限されました。

ほかの節税面

・法人税が課税される法人と、所得税が課税される個人の税率による違いにより、同じ所得でも法人と個人をトータルすると税金の負担を軽減することが可能になります。
所得が多くなるほどこの節税の効果はありますが、役員報酬の取り方によっては税金の負担が多くなることもありますし、赤字の場合などは負担が多くなります。

・所得税では所得の種類によって、赤字の所得と黒字の所得を合算(損益通算と言います)できないものがありますが、法人は全ての所得に課税されますので有利です。

・青色の個人の場合には3年間、赤字を翌年に繰越すこと(繰越欠損金)ができますが、青色の法人の場合には7年間繰越すことができますので有利です。

退職金の支払い

個人の場合には事業主や家族従業員に退職金を支払っても経費とは認められませんが、法人の場合には、相当の額であれば経費として認められます。
退職所得は退職所得控除を差し引いた上に、その残額の二分の一が課税対象となりますので、受領した個人にとってはかなり有利な税制となっています。
これに法人契約の生命保険を組み合わせると更に節税効果が上がります。

平成24年度の税制改正により、平成25年分以降の特定の役員等に対する退職所得の金額の計算においては、退職所得控除額を控除した残額を2分の1する措置が廃止されましたので、このメリットを享受するためには注意が必要です。

消費税の免除

資本金1千万円未満の法人は消費税が2期間(最大2年間)免除されます。

≪法人化のデメリット≫

point1会社の設立のために、定款作成費用、登記料等の費用が掛かる

個人が自分のために定款作成、登記、各種届出書の提出をするのであれば、行政書士、司法書士、社会保険労務士、税理士の資格は必要ありません。
しかし、こうやってインターネットで調べる限りは、薄々「手続きがめんどうそうだなー」と思っているのではないでしょうか。
正直言って、個人でやられる方はいらっしゃいますので、決して無理ではありません。お客様にとって大事な会社です。時間がいくらでもあるという人には、是非挑戦してもらいたいと思います。
調べる時間も、役所に行っている時間もないとか、或いは役所が苦手であるとか、担当者から難しい質問をされるのがいやという人にとっては、各専門化に高い報酬(決して高いとは思っていませんが・・・)を払って手続きしてもらう価値があると思います。

交際費を全額経費にできない

多くの中小企業の場合、600万円までの交際費に対し10%部分が経費として認められません。
また、600万円超の部分は全額が経費に認められません。

赤字でも税金が掛かる

均等割額として、新潟県の場合は最低2万円の法人県民税が、十日町市の場合には最低5万円の法人市民税が掛かります。
この均等割額7万円は赤字の場合でも毎年課税されます。

社会保険料の負担とその事務負担が増える(保険料コストの増加)

個人事業主では免除(任意加入)されていたものが、法人になると強制加入となりますので、新たに保険料の負担という費用が増すばかりではなく、個人当時に社会保険の事務をしていなかった場合は新たな事務量も増加します。(社会保険労務士の仕事であるため、当事務所では提携先の先生に取次ぎしております。)

社会保険料の種類
健康保険(従業員と折半)
厚生年金(従業員と折半)
雇用保険(従業員と折半)
労災保険(全額会社負担)

会計処理の事務負担が増える(経理コストの増加)

前記、メリットの反対になりますが、法人には複式簿記による記帳が必須条件ですので、知識のある方は良いでしょうが、知識のない方は従業員を雇うか、公認会計士や税理士に依頼することになります。
ちなみに、簿記3級の知識ですと、日々の記帳は大丈夫だと思いますが、決算書の作成は荷が重いと思います。
簿記2級の知識ですと決算書の作成まではなんとか大丈夫だと思います。(注記表の作成は荷が重いかも・・・)
また、申告書の作成ですが、個人所得税の申告なら、税務署が無料で配布している「確定申告書の書き方」をよく読めばほとんど書けますし、税務署でも親切に指導してくれますが、法人税の申告書はかなり難解で、経験がないとはっきり言って無理だと思います。
いずれにしても、経理から申告まで、従業員に給料を払うか、専門家に報酬を払うかの違いはありますが、個人事業と比して経理にお金がかかることは間違いないでしょう。
法人化後も、ぜひ当事務所にお任せください。
料金は、「基本報酬表」をご覧ください。

重要事項の決定に決議が必要となり、議事録を残さなければなりません

株主総会のたび、取締役会のたびに議事録が必要になります。
行政書士の資格を持つ、当事務所にお任せください。

会社を止める(解散する)場合には、登記等の費用がかかる。

個人が廃業する場合には、事業で使用していた機械や備品、不動産は個人のものなので、個人の立場で処分できますが、法人の場合には最終的には株主のものであるため、法人として処分して現金に換え、その後株主に平等に分配しなければなりません。
株主に対する報告や決議など、時間と費用が結構かかります。
法人は登記によって設立し、登記によって解散することになりますので、登記費用が掛ります。