NPO法人と会計方式

これまでの会計基準

 そもそも、NPO法人の会計は、この基準でやらなくてはいけないというものがありません。
でも、なんらかの基準がなければ、困ってしましますよね。
これまで、公益法人会計に準拠した方法に基づき財務諸表を作成しているNPO法人が多いのではないでしょうか。

 なぜ、通常の簿記では解説されていない「一取引二仕訳」を伴う面倒な公益法人会計基準に準拠した方式が採用され、多くのNPO法人がそれに従うようになったのでしょうか。
その理由は次の2つではないかと考えられます。

h3_01特定非営利活動促進法(以下、NPO法という)28条で所轄庁に提出すべき事業報告書等として、

A 業報告書
B 財産目録
C 貸借対照表
D 収支計算書
E 役員名簿
F 10人以上の社員の名簿

と規定されており、一般企業で作成されている損益計算書ではなく、Dで収支計算書を作成するよう規定されていること。

h3_01経済企画庁国民生活局から「特定非営利活動法人の会計の手引き」で解説されている内容が、公益法人会計基準に準拠した方式で解説(Dの収支計算書は、公益法人会計でいう収支計算書の内容と正味財産増減計算書の内容との両方が記載されています)されていたこと。

また、NPO法人用の会計ソフトでも公益法人用のソフトと同じ仕組みのソフトが発売されています。

注)ここでいう「公益法人会計基準」は旧公益法人会計基準であり、平成20年に「新公益法人会計基準」が策定されています。余談ですが、公益法人認定を受ける公益法人(特例公益法人)も、一般財団、一般社団に移行する公益法人(特例民法法人)もH25年11月30日までに「新公益法人会計基準」により財務諸表を作成することになっており、公益法人認定も移行認可も受けない特例公益法人は同日付で「みなし解散」となります。

「NPO法人会計基準」の誕生

 平成22年7月20日に、全国のNPO支援センターが集まってNPO法人会計基準協議会を結成し「NPO法人会計基準」が策定されました。合わせて、「実務担当者のためのガイドライン」も策定されました。(NPO法人会計基準協議会のホームページhttp://npokaikei.blog63.fc2.com/から入手できます。)
この会計基準は、一言でいえば、一般の中小企業で使われている企業会計基準にNPO法で求められている内容を盛り込み、さらに実際に活動しているNPO法人自身の意見をも取り入れた会計基準であると言えます。
もちろん行政主導で作成された基準ではなく民間で作成された基準です。
今までの基準と同様、強制力はありませんので、従前と同じ基準により財務諸表を作成してもかまわないのです。
すぐには変えられない、ソフトが対応していないなど、NPO法人の事情により来期以降の採用でもかまわないのです。
ただ、検討をされてみたらいかがでしょうか。
丁度、平成22年11月4日に、NPO法人会計基準の研修会(くびき野NPOサポートセンター主催)が開かれると聞き、参加させて頂きましたが、一般企業用の安価な会計ソフトで処理することも、工夫すれば可能であろうと確信しました。(エクセル等で報告書の様式に加工することが必要であると思います。)
当事務所で使用しているミロク情報サービスでも、一般法人向けの会計システムをそのまま利用し、「NPO法人会計基準」に準拠した科目体系とエクセル様式が提供され、今年度分から移行しています。

 使用状況や運用方法等、経理担当者の参考になることがありましたら、これからも逐次お知らせしたいと思います。
この会計基準が広くNPO法人に採用され、需要が多くなれば、ソフトメーカーもこの会計基準に準拠した会計ソフトを開発してくれるのではないでしょうか。
安価で使い勝手の良い専用ソフトの提供を期待したいものです。